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私が回路シミュレーションソフトをMicroCapからLTspiceに乗り換えた理由

最近、回路シミュレーションをMicroCapからLTspiceに乗り換えたのでその時のメモ。

なぜMicroCapを使っていたか

今までは回路シミュレーションをする時はMicroCapを使用していました。

理由としては、以下が挙げられます。

  • UIとしてそんなに不満はなかった。あったとしても、実務上の使用頻度が少なくて特に気にならなかった
  • CQ出版社から機能制限のかかったトライアル版が販売されていたので、自宅PCでもほぼ同じ間隔でシミュレーションできた
  • 職場で使っている人が一番多かった

特に3つ目の理由がメインで、先輩方が普通に使っているので”あ、シミュレーションといえばMicroCapがスタンダードなんだな”と思い込み、他のソフトの存在すら知りませんでした。

しかしながら、最近になってシミュレーションを使用する機会が増え、MicroCapってどうなの?と懐疑的になってきました。

MicroCapのイマイチなところ

私が感じたイマイチなところを挙げてみます。

  • ドキュメントが極めて少ない!基本的な操作方法すら説明するサイトも本もなく、体で覚えろというスタイル(どこかにあるのかもしれないが、ググって出てこない時点でアウト)

  • サポート体制がないです。エラーに対するドキュメントもないので、先輩方に聞くか、自力て解決するしかないです。MicroCapをサポートしている東陽テクニカに問い合わせをした事もあるが、返答は全くなかったです

  • 職場で使用しているのはライセンス付きなので使用ユーザ数に制限あり。これに結構ひっかかって使用できない事が割とあります。かなりストレスフル

  • CQ出版版はあるが有料。しかも2万円弱するので趣味用途で使うだけの人はまず手を出さない→結果としてユーザ数が増えない、ドキュメントも少ないの悪循環

  • コミュニティがないです。上記の理由にも近いですが、ユーザ数が少ないためかコミュニティや勉強会といったものが見当たらない

ファンがいるかどうかが重要

最近、基板設計ソフトを探した時にKiCadというソフトの存在を知りました。

これは基板設計というジャンルで初めてのOSSです。もちろん無料。

オープンソフトという本質から来るものでもあるが、このソフトにはファンが大勢いると感じています。

それは、KiCadの勉強会に参加した時に感じました。日本のコミュニティを立ち上げた人の熱い想いや、自らライブラリを作って公開した人や、職場でもプライベートでも使い倒している超人達から受けた印象です。
皆さん楽しみながらも、KiCadを良くしよう!という共通の思いがあり、一言で言うとファンであったように感じました。

結果として、無料ではあり得ない高精度な自動配線や押しのけ配線等といった機能が日々着々と盛り込まれており、日々進化しています。

今回のようにツールを選択する時は、このファンがいるか、という事が結構重要だと思っています。

ファンがいれば、自然発生的にコミュニティが生まれ、そこから新たな発見や疑問の解決ができます。
また、ブログや書籍も多く出回り、自己学習が容易になります。
更には、ファンが多ければツールが淘汰されるリスクも少ないと思います。

少し話が脱線してしまいましたが、このようにファンが多いツールを目の当たりにした事が、回路シミュレーションを考え直すきっかけになったのも事実です。

という事でLTspiceに辿り着く

色々と調べた結果、Linear Technologyが提供しているLTspiceが良さそう、という結論に至りました。
1か月程触った経験も踏まえて下記に記載します。

LTspiceの良いところ

完全無料

LTspiceはダウンロードも継続使用中も一切お金がかかりません。

ただ、他のSPICE系のシミュレーションが有料な中、なぜ無料で提供できるのか、という事がずっと疑問でした。
私は勝手に、機能を削減しているのか、解析速度を落としているのか、と想像していました。

しかし実際はそんな事はなく、Linear TechnologyのICを豊富に揃えておく事で、製品を売り込もうというビジネスモデルらしいです。

なんでも、そもそも回路シミュレーターを使用する人は絶対数が少なく、そこに対してお金を取るより無償にして部品で収益を上げる方がプラスになる、という計算との事。

そのため、機能制限等は一切なく、むしろ例えばスイッチング電源のシミュレーション速度を高速化する等、日々パワーアップに余念がない様子です。
やはり使い勝手が良くないとユーザもついてくれない事を分かっているのでしょう。

このビジネスモデルには大いに納得、且つ共感もできて、安心して乗り換える事が出来ました。

日本語ドキュメントが豊富

Amazonで”LTspice”と入れるだけで、日本語の解説本が5〜6冊も出てきます。
これが”MicroCap”だと、CQ版が1冊出てくるのみ。しかもこれはマニュアル付きのただのソフトなので、解説本という意味では0冊です。

この差はググっても歴然の差で、”LTspice 使い方”で検索すると13,900件、”MicroCap 使い方”だと1,080件です。

LTspiceに関しては初心者向けのブログもすぐに幾つか見つかり、感覚的にはもっと差がありそうです。

ちなみに、日本語の解説本の中でも特におすすめするのは下記の本です。

操作方法から始まり、コマンドの使い方、実践的な回路例、SPICEモデルに対する解説、エラーメッセージに対する対処法(1部ではありますが)等、本当にかゆい所まで手が届く内容になっています。

現在出版されているLTspice本で、ここまで網羅している本はおそらくこれだけだと思います。

私も見つけた瞬間買ってしまいました。

特筆すべきは、長年頭を悩まされていた、コイルの直流重畳特性を再現する手法まで掲載されていた事です。

MicroCapでも同じ事ができるとは思うのですが、MicroCap関係のドキュメントでそんなものは見た事もなかったです。それがLTspiceに鞍替えした瞬間、出会えた!というのが小さな感動でした。

ショートカットを駆使した時には爆速化

操作性は、”基本的には”あまり良くないです。素子のドラッグ&ドロップも感覚と違うし、ダブルクリックで何も起きないし、、Officeソフトに慣れていると最初は苦労します。

しかしここで”基本的に”と言ったのは、ショートカットを駆使すると操作性が一気に化けるからです。

ショートカットキーは自由にカスタマイズする事ができ、例えば抵抗を置きたい時は”R”キー、ドラッグしたい時は”D”キー、表示をデフォルトサイズに戻したい時は”shift+F”等、簡単な操作で回路図作成をする事ができます。

良く使用するボタンのショートカットを多用する事で、作業効率は一気に高まります。

例として、以下に私の設定を載せておきます。
私は基本的には、モードは1キーで変えられるようにしておき、表示系はshift+1キー、少し特殊用途はCtrl+1キーというような割り当て方としています。

このように一定のルールを持たせる事で、数あるショートカットキーも覚えやすくなります。

LTspice設定

波形表示時の感覚的な操作

波形表示モードの時に、表示したい箇所にカーソルを近づけると、電圧プローブになったり電流プローブになったりして、実際にオシロを使ってモニターしている感覚と非常に近いです。

これは操作性が良いのに加えて、だんだん楽しくなってきます。

また、表示した波形はドラッグ&ドロップで自由に別グラフに移動する事もでき、これまた非常に感覚的です。

回路図作成に関しては慣れが入りましたが、一転して波形表示に関してはとても感覚的に操作する事ができます。

LTspiceの改善要望点

上記のような良い点がある一方で、完璧な状態とも言えないです。
私個人が感じた、改善してほしい点を挙げておきます。

ただ私もまだ経験が浅いので、もし、既に機能として盛り込まれているのであれば教えて頂きたいです。

グラフをページ毎に変えられない

MicroCapは、複数のページを用意して、好きなページに波形を表示する事ができます。

これは、見たい波形チャンネルが増えてきた時に結構便利でした。

例えばページでユニット毎に分けたり、電圧/電流ページで分けたり、、

それがLTspiceでは1ページ内に表示する事しかできないようです。。

今後の改善を希望します。

アニメーション機能がない

これまたMicroCapで便利だった機能です。

MicroCapでは各部の電圧/電流を表示しながら、例えば1秒置きに値を更新していく、というアニメーション機能がついていました。

これは、波形を見ただけでは動きが理解できない時に有用で、勉強用に良く利用していました。

それが、LTspiceには見当たらず、、

これも追加して欲しいです。

まとめ

まぁ最後に挙げたような改善ポイントはありますが、やはりドキュメントやコミュニティの多さには変えられないものがあります。

独学で学んでいくより、人から学んだり、人に教えたりで得られるものの方が遥かに多いと思っていますので。

また、使用する度に手に馴染んでいくような絶妙な操作性もLTspiceの決め手になりました。

という事で、私は今後はLTspiceでいきます。

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